亡くなった方を洗う?湯灌(ゆかん)とは?

亡くなった方を洗う?湯灌(ゆかん)とは?

こんにちは ゆにこ〜んぐーたらブログのみんみんです。

湯灌(ゆかん)という言葉は知っていますか?

湯灌とは亡くなられた方を洗い清め死に装束に着替えさせ納棺するという仕事です。

現在は現役を退きましたが、なかなか感動的な他では体験できない毎日の連続でした。

中々、この仕事をやりたいと思う人が少なく、また精神的、肉体的に辛く離職率も高いのが難点でした。

しかし、この湯灌のパワーは、体験した人にしか分からない湯灌マジックが存在するのです。

最初は訝(いぶか)しげだったご遺族様が湯灌を終える頃には柔らかな表情をされているのです。

それが湯灌マジックです。

湯灌には人の心をケアする、そんな力があるんです。

ただ単に洗うというだけでなく、湯灌師の所作や言葉かけ、そして故人様に優しく丁寧に接するその姿にご遺族は安心されるのだと思います。

そもそも湯灌とは古くは江戸時代の頃から行われていたといいます。いつの時代も亡くなられた方に対するご遺族の気持ちは同じだったんだろうと感じます。

湯灌のお仕事

湯灌のお仕事は、字のごとく故人様にお仕えする仕事です。

故人様に敬意を持って接することから始まります。

まずは静かに手を合わせ故人様のご冥福をお祈りいたします。

そして、お遺族様へ湯灌の儀式の流れを説明し、故人様へ着付ける仏衣をお見せします。

浴槽を使用する場合と清拭(お拭きあげ)の二つの方法があります。これはその土地柄、地域によって変わります。

わたくしは、浴槽を使用して湯灌を行っていました。浴槽は、介護入浴用と同じような浴槽を使用していました。

故人様の脱衣を行い浴槽の上に湯灌師ふたりで移動します。体の上には全身を覆うほど大きなバスタオルをおかけし肌が見えないように配慮をします。

次に逆さ水の用意をします。この逆さ水とは水のお湯を足して行きお風呂のお湯くらいの温度にします。

なぜこの様な事をするのかというと、亡くなるということは、この世と逆の場所に行くことを示しています。故人様に亡くなったことを知らせるために行うとも言われています。ちなみに仏衣をお着付けする際も着物の合わせは左前にし、帯や足袋の紐は縦結びにします。このため縦結をすることは縁起でもないと言われてきました。

小さい頃は、よく縦結びをして縁起でもないと言われていました。

ご遺族様にはひしゃくに汲んだお湯を故人様の足元から胸元までかけていただきます。今世での思い煩いをご遺族の方に流して頂く意味合いを持っています。

ご洗体

その後湯灌師が体を洗い清めて行きます。

故人様はやってほしいことを言葉や態度で伝えることはできません。そのため、私は自分がやってほしいことを故人様に施そうと思って湯灌をしていました。

亡くなる前は、体調の変化が激しいためお風呂に入れなくなってきます。

日本人はお風呂が習慣になっていて1日でもお風呂に入れないと気持ちの悪いものですよね。そのため自分だったらどこをどのように洗ってほしいかを考えました。

そして、お体に触れる際は、びっくりさせない様故人様に声掛けをしてから触れるようにしていました。

お一人お一人の状況を把握して、故人様は何をしてほしいんだろうと考えて洗っていくのです。

洗い方もゴシゴシ洗うのではなく、泡立てた泡でマッサージするように洗っていくことが大切です。足は指の間も念入りに洗います。そして、全身を隈なく洗っていきます。

顔剃りとシャンプー

お顔剃りも重要なポイントです。顔を剃ることによって顔色が明るくなりお化粧のノリもよくなります。

男性はもちろんですが、女性の方も産毛が生えていますから、顔剃りをするとスッキリされます。

あとはシャンプーですね。入院中に洗えなかった部分かと思います。念入りに頭を揉む様にマッサージを施しながら洗っていきます。

シャンプするとすっきりしますよね。

簡単なスプレー式の毛染めを行う場合もあります。

ご処置

体を洗い終えるとお着替えと体のご処置を施します。ご遺体は時間を経過すればする程変化していきます。

その変化した部分を整えていくのです。

口と鼻への綿詰、点滴跡など出血部分の処置。

特に目が開いたままや口が開いたままだと苦しそうな顔でご遺族が一番気にされる部分です。

湯灌師の役目は故人様のお顔を安らかにし、故人様らしさを引き出すことです。

化粧、着付け

ご処置の後は、お化粧に入ります。ここで重要なのが保湿です。故人様は乾燥が進むと肌が硬化していきオレンジ色や赤色に変化してしまいます。それを食い止めるのが保湿です。

湯館までには時間が開くため、ご遺族の方がニベアなどの保湿クリームを塗ってあげる事も大切だと感じます。

お化粧は、男性の方にも行います。それは亡くなられると蒼白になるか、死斑によって耳が赤黒くになったりと変化するからです。

女性の様な化粧ではなく、あくまでも顔色を整える目的で化粧をします。

女性は、普段の雰囲気を聞き施します。故人様専用の化粧品(油分が多い)を使用するか、故人様の化粧品を使う事もあります。

着付けは白装束かご遺族が用意されたものを着せて差し上げます。

ダンスの衣装やスーツ、ウエディングドレス、柔道の道着、着物、チョゴリなどさまざまです。

納棺

全てが整うと納棺の儀へと進みます。今まで間近にいた故人様が棺に入られる為、とても重要な時間です。

棺に入ってしまったら、本当に遠い存在になってしまうからです。ある意味、心の区切りをつける時間でもあります。最後は、体や顔に触れていただき最後のお別れをします。

そして、ご遺族の方の手によって棺へと移動してもらいます。納棺して差し上げたいものは、この時間に納棺したりします。火葬場の取り決めで最近は納棺のお品が入れにくくなってきました。燃えにくいものや、ガスの発生するものなどは納棺できません。

燃える物でも本の様なかさばるものは入れられなくなって来ました。昔は、なんでもかんでもいれていたのですが…。

まとめ

湯灌の仕事を大まかに説明しました。内容はあくまで私の経験上のため、全ての湯灌屋さんが同じではありません。しかし、湯灌に携わる方々は故人様をとても丁寧に優しく接してくれます。またご遺族に対してもお話をよく聞いてくれ優しく対応してくれます。湯灌の時間は、葬儀の中でも故人様とゆったり過ごせる大切な時間になります。どうか、興味を持たれた方は、湯灌の仕事についてみてはいかがでしょうか?どこの湯灌屋さんも人手が欲しいと感じています。特に力に自信のある方は頼もしい存在になる事間違いなしです。

最後に、このお仕事は大変喜ばれ、やりがいのある仕事です。命の有り難さを実感できる仕事です。湯灌師を目指す方が増えますように…

 

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